アクリル額装「アートカプセル」のカラー選び|程亮介 氏作『マミーバニー』×ネオンラベンダー
- tenkuunomori
- 12月1日
- 読了時間: 5分
公開日:2025年12月1日

今回は特殊なサイズのキャンバス作品(255x203x15mm)を、額装家多喜博子がプロデュースする高品質なアクリルフレーム「アートカプセル」で額装した事例をご紹介します。
お預かりしたのは、アーティスト程亮介(てい りょうすけ)氏が描く人気キャラクター「マミーバニー」の作品。包帯を巻いたような姿のウサギ、マミーバニーが抱えているのは、真っ赤なチューリップ。

銀座画廊「美の起原」からのご縁
この作品は、お客様が銀座の画廊美の起原で開催されていた展覧会で出会い、ご購入されたものとお聞きしました。
今回額装をご依頼いただくにあたり、とても光栄なオーダーをいただきました。
「カプセル額装の色は、作者の程さんと、額装家の多喜さんにお任せします」
作家さん、お客様、そして私。 三者の想いを重ね合わせる、最高に楽しいプロジェクトの始まりです。

マミーバニー

色選びに入る前に、少しだけマミーバニーについて私の視点で語らせてください。
私はこのキャラクターを見るたびに、その姿にどこか儚さ(はかなさ)を感じていました。 程氏にお話を伺うと、「マミーバニーは、僕の『乙女な部分』をキャラクター化したものなんです」とおっしゃっていました。
なるほど、だから繊細で掴めそうでつかめない、優しく触れてあげないといけないような存在と感じるのかもしれません。
今回のマミーバニーは赤いチューリップをこちらに差し出し、見ている人を元気づけようとしてくれているような優しさが伝わってきます。
そんなマミーバニーには、どの色のカプセルが一番似合うだろう?
これから持ち主となるお客様には、どの色の雰囲気が必要なんだろう?
そんなことを考えながら、色合わせのシミュレーションを行っていきました。
悩ましくも楽しい、色選びのプロセス
アートカプセルは豊富なカラー展開が魅力です。
程氏から伺っていたお客様の雰囲気や情報をヒントに、いくつか候補を並べてみました。






色を変えるだけで、作品が持つ背景のストーリーや場面がガラリと変わっていくような感じがしませんか?
「あちらも良い、こちらも素敵、これは違うなぁ。」と迷うこの工程は、額装における一番楽しい時間でもあります。
選ばれたのは「ネオンラベンダー」
最終的に、作者である程さんが選ばれたのは「ネオンラベンダー」でした。


蛍光色で少し青みがかっていて、独特の光沢を放つ神秘的な色です。 この色が演出する無重力感が、マミーバニーから感じる儚さや、程さんが意図した繊細な世界観と共鳴したのかもしれません。
アクリルフレームとは違う「アートカプセル」の品質基準に達しない
色が決まり、いよいよ大阪の信頼できる制作工場の職人さんの手によってアートカプセルが制作されました。 普段から非常に腕の良い職人さんにお任せしているのですが……今回残念ながら私から「NG」が出てしまいました。

仕上がってきたカプセルの側面に、結構な細い筋が。 職人さんが急いで一生懸命作ってくれているのは知っているので、NGを出すのは私としても心が痛む瞬間です。
アクリルフレームフレームとしての機能性としては一般的にこれでも十分なのですが、アートカプセルはこのエッジ(角・断面)の美しさが価値でもあります。
そこは妥協せず、アートカプセルの品質基準をしっかりと伝えて、もう一度作り直してもらいました。
そして、こちらがOKを出した仕上がりです。

全然違いますよね。この光沢感。 アートカプセルは、私の手元で品質をチェックしています。
作品と持ち主をつなぐ「優しい通訳者」
無事に仕上がった作品はお客様の元へ納品され、大変喜んでいただけました。

こうやって作家さんと、ご依頼者さんと一緒に色決めをしていくプロセス。 そこには、作家さんの意図と、持ち主となる方の想いが交錯します。
気配りや配慮が必要なことではありますが、私にとってはとても貴重で価値のあるお仕事です。
額装は、作品と持ち主またその作者をつなぐ「優しい通訳者」のような存在かもしれません。

お気に入りのアートが、あなただけの「特別な色」に出会った時。 その作品はさらに新しい表情を見せ、持ち主であるあなたの日々の暮らしを明るくしてくれます。
人生を豊かにする大切な存在としてアートを額装し、迎えていただく。 額装家として、これ以上の喜びはありません。
■事例データ
額装年: 2025年9月
額装素材: アートカプセル(カラーアクリル・ネオンラベンダー)
作品サイズ: キャンバス(255x203x15mm)
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