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【付加価値創造の額装事例】額装家多喜博子が現代アートポスターの価値を最大化する—宇野亜喜良氏作品

  • tenkuunomori
  • 2月14日
  • 読了時間: 6分

更新日:6 日前

【オーダーメイド額装事例】

最終更新日:2025年10月25日


巨匠作品への挑戦とビジネスへの貢献

額装:制作事例 イラストレーター宇野亜喜良氏

日本のアート界におけるイラスト、グラフィックの巨匠、宇野亜喜良氏。その耽美的で、装飾性に富んだ世界観は、いつか額装を手掛けたいと長年憧れ続けていた、私にとって特別な存在でした。


その願いが実現したのは、2022年の年末。印刷会社のサンクラール様より、宇野亜喜良氏のポスター5点もの額装をご依頼いただきました。このポスターは、銀座の個展で高額な価格で販売されていた、Sプリズムプリントという特殊な箔押し印刷が施された貴重な作品でした。初めて作品を目の前にした時、声を絞り出すのがやっとだったほど、驚きと喜びで動揺したのを今でも鮮明に覚えています。


このご依頼のうち1点は、「今後の展示活動で、作品の魅力を最大限に伝えるための特別な額装を」という要望をいただきました。これは、単なる作品保護ではなく、アート作品の持つ「商品価値」と「プレゼンテーション価値」を極限まで高めるという、私の技術とコンセプトが問われる挑戦でした。


宇野氏の作品は、数年前に東京のギャラリストさんから「多喜さんの額装は、宇野亜喜良さんの絵のような耽美的な作品にこそ似合う」とのお言葉をいただいて以来、ずっと頭の中にありました。この運命的な出会いに心から感謝し、額装家 多喜博子の「驚きと感動をつくる」という理念を、ビジネスの最前線で証明する機会となりました




デコラティブな伝統の継承とデザインによる差別化

宇野亜喜良氏ポスター

作品の価値を高める額装のコンセプトは、「高額なポスターの価値に見合う、デコラティブな装飾性」と、「宇野氏の作品世界と響き合う色と質感の追求」です。


宇野氏の絵は、しばしばアールデコ調の雰囲気を持つゴールドやシルバーの装飾フレームで額装されています。この伝統的なデコラティブ(装飾的)な様式を継承しつつ、多喜博子らしい装飾として、私の得意とするクッション額装を採用しました。


【付加価値創造の額装事例】額装家多喜博子が現代アートポスターの価値を最大化する—宇野亜喜良氏作品

まず選定したのが、深く彫り込まれた葡萄の葉の柄の彫刻が施されたチャコールグレーの額縁。この葡萄の葉の模様が、宇野氏の描くコケティッシュで不思議な世界観と、驚くほどぴったりとマッチしました。この額縁は、絶対に譲れない要素となりました。


しかし、初期の試作で、黒のベロアクッションを合わせたところ、クッションの深い黒と額縁のチャコールグレーが衝突し、額縁の持つ上質な深いグレーの色味が、相対的に白っぽく浅く見えてしまうという問題に直面。


額縁の表情を活かすため、クッション部分の色の変更が不可欠となりました。




葛藤から生まれた「くすみブルー」と手縫いの理由

【付加価値創造の額装事例】額装家多喜博子が現代アートポスターの価値を最大化する—宇野亜喜良氏作品

ここはいったん気持ちをリセットし、一から生地選びをし直す判断をしました。

生地専門店を巡り、数ある生地の中からピンときたのが、くすんだブルーのベロア生地。この生地は、ポスターの中の女性がまとう、ピンク調とシルバーが混ざり合った箔押しのドレスの色や質感と驚くほど調和しました。



【付加価値創造の額装事例】額装家多喜博子が現代アートポスターの価値を最大化する—宇野亜喜良氏作品

再度選び直したグレイッシュなベロア。額縁の色より明るいが華やかさに欠ける。




【付加価値創造の額装事例】額装家多喜博子が現代アートポスターの価値を最大化する—宇野亜喜良氏作品

最終的に決定したくすみブルー。絵との相乗効果で装飾性が高まる。




色の共鳴: チャコールグレーの額縁と、くすみブルーのベロアが、深いトーンで繋がり、作品の耽美的な世界観を損なうことなく、シックな高級感を生み出しました。


光沢の演出: ベロアにクッションの凹み(ピッチ)をつけることで、光の加減によってブルーの色にグラデーションと光沢が生まれ、さらに高級感が増し、作品の箔押しの輝きと共鳴しました。



このクッション部分は、既製品ではなく、全て私の手縫いで制作しています。特に、クッションの凹みのピッチ(間隔)は、作品の大きさ、絵の密度、色調によって最適解が異なります。


今回の宇野氏の作品の持つ繊細な装飾性とポスターのサイズを考慮し、凹みの間隔を調整し、立体的な陰影が最も美しく見えるピッチを探り当てました。このピッチの選定と手縫いの精度こそがこのクッション額装の真髄であり、差別化の技術です。


最終的に、当初検討していたもう一段明るいグレーの生地ではなく、この「くすみブルー」が、額縁のチャコールグレーを最も引き立たせ、ポスターの価値を最大化すると確信し、完成へと至りました。




クライアントの感動とビジネスへの波及効果

【付加価値創造の額装事例】額装家多喜博子が現代アートポスターの価値を最大化する—宇野亜喜良氏作品

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【付加価値創造の額装事例】額装家多喜博子が現代アートポスターの価値を最大化する—宇野亜喜良氏作品

完成した額装は、クライアントであるサンクラール社の矢田社長に大変お喜びいただきました。


納品後、玄関の扉を閉めた後に、外で「おお…!」と感心されている声が漏れ聞こえてきたのです。これは、その場限りの社交辞令ではなく、心の底から「素晴らしいものができた」と感動してくださった証であり、「額装で驚きと感動をつくる」という私の信条が実を結んだ瞬間でした。


その後、この作品は東京ビッグサイトで開催されたコンテンツ東京で、額装家 多喜博子のクレジットと共に、立派なブースに展示していただきました。


ビジネスへの貢献: この展示での額装作品は、サンクラール様の「ただ印刷するだけでなく、作品の価値を深く理解し、その価値を高める提案ができる企業」としてのイメージを強く印象付ける役割を果たしたと確信しています。


実績と信頼の連鎖: この出展以降、サンクラール様のビジネスがさらに順調に発展し、新たな理想的なお仕事にも繋がっているとお聞きしました。微力ながら、私の額装がクライアント様のビジネス拡大の一助となれたことは、額装家として最高の喜びです。




空間価値を高めるオーダーメイド額装のご提案

【付加価値創造の額装事例】額装家多喜博子が現代アートポスターの価値を最大化する—宇野亜喜良氏作品

【付加価値創造の額装事例】額装家多喜博子が現代アートポスターの価値を最大化する—宇野亜喜良氏作品

今回は展示を目的とした額装でしたが、この作品が持つシックで高級感のあるトーンは、様々な空間の価値を高めます。


例えば、ベロアのブルーとトーンを合わせたソファのある応接室、または、黒やグレーを基調としたモダンなエントランスに飾ることで、一気に空間全体の「格」を上げることができます。クッション額装は、クッション部分の生地の色を、インテリアに合わせて無限に変えられるという最大の利点があり、顧客に合わせた演出が可能です。


単に絵を囲むだけでなく、作品の物語性、お客様の空間の価値、そしてビジネスでのプレゼンテーション力を最大化する額装をご提案いたします。



「作品をただ見せる」から「感動を創出する」額装の力にご興味がございましたら、是非一度お問い合わせフォームよりご相談ください。



作品:イラストレーター宇野亜喜良氏

額装年:2023年

額装素材:木・布・紙



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