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デジタルアートの価値を最大化する特殊額装|B3ポスターが100万円で売れた理由 額装家多喜博子

  • tenkuunomori
  • 2025年12月7日
  • 読了時間: 12分

更新日:2025年12月26日

【オーダーメイド額縁制作事例・GODTAIL氏 サイバー額装】

最終更新日:2025年12月23


B3ポスターが、額装によって100万円の価値を持った

GODTAIL氏作「Nendo」額装家多喜博子によるサイバー額装正面

この作品は、デジタルアートをB3ポスターとして出力し、特殊な額装を施したものです。結果として100万円という価格で販売され、さらに複数の購入希望者が現れました。

デジタルアート時代において、作品をどう「物質化」し、「所有する価値」を創るか。それが今回の挑戦でした。


本事例の概要:

作品:イラストレーターGODTAIL氏「Nendo」B3サイズ・Sプリズムプリント(箔押し)

額装予算:20万円〜(このレベルの立体的特殊額装)

制作期間:約2ヶ月

販売価格:100万円(海外向けは120万円)

結果:複数の購入希望者

デジタルアートの価値を最大化する特殊額装|B3ポスターが100万円で売れた理由 額装家多喜博子





デジタルアーティストが直面する「価値の証明」という課題

作品「Nendo」 GODTAIL作
作品「Nendo」 GODTAIL作

GODTAIL(ゴッドテイル)氏は、イラストレーターとして20年以上業界の第一線で活躍し、現在はMARVELの公式アーティストとしても国内外で活動されています。


長くデジタルアートに携わってきた今だからこそ湧き上がってきた想い、それは——

「作品を、直接ファンに届けたい。そしていつまでも大切にしてもらいたい」


デジタルデータとして存在する作品を、どうやって「手元に置きたい」と思わせる物理的な価値に変換するか。この課題に、額装という手法で答えを出したのが本事例です。


GODTAIL氏がキャリア20年にして初めて出展したアートフェア「Unknown Asia 2022」。出展作品のひとつとして選ばれたのが、サイバー空間で遊ぶ子どもたちを描いた「Nendo」でした。


額装のご依頼は、ポスターをプロデュースした印刷会社 サンクラール社を通じていただきました。実は以前から、私が手がけたイラストレーター上田バロン氏の作品額装を目にしていて気になっていたとのことでした。





サイバー空間を「物質」で表現する——デザインコンセプトの構築

GODTAIL氏作「Nendo」額装家多喜博子によるサイバー額装上部部分

作品に込められたストーリー

初めてZoomでお話ししたとき、GODTAIL氏から伺った作品のコンセプトが印象的でした。


「未来の子どもたちが、サイバー空間の中で自由に遊んでいる。そんな光景を"粘土遊び"のような感覚で描きました」


タイトルの"Nendo"は、そこに由来しています。さらに「絵の中の床は、実は大友克洋の『AKIRA』のこども部屋の模様が元なんです」と教えてくださいました。



リサーチと思考の日々

同世代の私ももちろんAKIRAは大好きで、打ち合わせ後に改めてAKIRAを何度も観返すことに。他にもマトリックスをはじめ、さまざまなサイバー系アニメや映画も見直し、アニメ・ゲームの中心地である大阪日本橋にも足を運びました。


"未来"や"サイバー空間"を、物質的なフレームにどう落とし込めるのか?


額装という「面」でもあり「構造」を持つもので、あの空気感を再現できるのか?その問いを胸に、しばらくは考えつづける日々が続きます。



2つの提案案

提案は2案用意しました。ひとつは、iPhoneのようなデバイス感を意識したもの。そしてもうひとつが、サイバー空間そのものを抽象的に表現した案です。


結果、後者が採用されました。黒を基調とし、そこにサイバー空間を表現したグリッドをネオンカラーの光線で走らせたデザインです。


1988年に公開された映画アキラの予告編

額装のデザインアイデアに大きく影響した「サイバーパンク」のオープニング。




特殊素材との格闘——試行錯誤のプロセス


いくつかパターンを作り、線の太さと素材の厚みの違いよる見え方を確認していた。        線の太さ0.5mmの違いが、光の速度のイメージを左右する。

最大の課題:イメージに合う素材探し

この時、光線の表現に使う素材を探し始めたのですが、これが最も苦労した点でした。

いくつかリストアップしていたものの、実際に使用するのは初めての素材ばかり。頭の中では完成形のイメージができていたので、あとは手と素材で形にするだけ——と思っていましたが、理想の質感と発光感を実現する素材に出会うまで、何度も試作を重ねました。


・線の太さと素材の厚みによる見え方の違い

・同じ黒色でもテクスチャーの違いで質感の変化

・光線の速度感を左右する0.5mmの差


細部にわたって緻密に検討を重ね、ようやく「これだ」という素材の組み合わせに辿り着きました。


後日、GODTAIL氏に「2案目を見たときに、かなり良いものになると確信していました。」と言われ、うれしい気持ちと責任感の両方が強まりました。





最後の直感が生んだ、決定的なパーツ

GODTAIL氏作「Nendo」額装家多喜博子によるサイバー額装右下からのアングル

9割完成した時点での違和感

試作を重ね、本制作が9割ほど完成したのは納期の2日前。

ネオンカラーの光線を実現させる素材と、その光線を立体的に見せる構造で、額装でサイバー空間を作り上げることができました。が、しかし——


「できた!」と思ったものの、何かが足りない。

何が足りないのか、寝ている間も考えていた感覚があります。



ハードウェア感という発見

そのとき、「パーツを追加したい」という直感が降りてきました。

なぜパーツが必要に感じるのか。


サイバー空間の中心はあくまでこのポスターの中にある絵「Nendo」の世界なのです。だから、この額縁は"サイバー空間の入口"であり、いわばハードウェアになるのではないか?

"もっとハードウェア感を追加する必要がある"、と感じたわけです。



パーツの自作と配置

直ぐにパーツがありそうな店に出かけたり、知り合いの彫金師に相談したり、ネットで探したけれど、理想のパーツは市販品では見つからず。

額装家多喜博子がサイバー額装を制作している途中
ホームセンターで買ってきたパーツをつけてみたけど、これはダサい.....

使えそうな素材を使って自分で切断・塗装することに。グラインダーで2サイズのパーツを切断し、やすりで磨いて、塗装。時間はないけど焦らず急げ。

額装家多喜博子がサイバー額装を制作している様子。金属を磨いている
金属を切断してやすりで切断面を滑らかにする。その後2種類の塗装を試した。


次は、パーツの配置を決めていきます。左右に置いたり、上下に置いたり、距離をちょっとずつ変えてみたり。撮影して、俯瞰で見て、を20回くらい繰り返しました。


結果、上下に3つ並べるとバランスが安定しカッコイイ配置を発見。奇跡的に模様のサイズにもぴったりと重なるベストな位置になっていました。

達成感と安堵が一気に押し寄せたのと、自分でも惚れ惚れして額を何度も眺めていたのを覚えています。

お渡しできたのは、アートフェア搬入の前夜でした。


額装家多喜博子がサイバー額装を制作している様子でパーツを置いている
作ったパーツの配置に迷う。まず左右に置いてみる。


左右の上下、内側に置いてみる。
左右の上下、内側に置いてみる。


額装家多喜博子がサイバー額装を制作している途中でパーツを上下中央に置いて見ている
上下に2つ並べてみる。だんだんベターな位置が見えてくる。


額装家多喜博子制作したサイバー額装完成図の上部部分
ベストな配置が納期の前夜に決まりました!




アートフェアでの反響——額装による価値の実証

GODTAIL氏の展示ブースで多喜博子が制作したサイバー額装が展示されている
アートフェアではGODTAIL氏のブースの中央にNendoの額装作品が展示されていました。

来場者からの驚きの声

アートフェア当日、GODTAIL氏のブースの展示は迫力があり、ひときわ目を引くものでした。

「Nendo」はブース中央に展示され、来場者からは次々と驚きと興味の声があがっていたそうです。


「どうやって光らせてるの?」

「電気が入ってるの?」

「絵と額が完璧に合っている!」


Xでは多数リツイート。さらにこの作品は、その後開催されたGODTAIL氏の個展でも展示・販売され、箔押し印刷+額装という形でB3サイズがなんと100万円で購入されました。しかも複数の購入希望者が現れたとのこと。

額装が、作品と作家の価値を最大限に伝えている——そんな手応えを感じる出来事でした。



国際市場での評価

額装家多喜博子が額装したGODTAIL氏作「Nendo」がオンラインで120万円で販売されている画面
海外に向けて販売された「Nendo」は120万円の値段がつけられていました。

海外に向けて販売された「Nendo」は、120万円の値段がつけられていました。





アーティストからの推薦——GODTAIL氏が語る額装の価値

GODTAIL氏の展示ブース前でGODTAIL氏と額装家多喜博子とサンクラールの矢田社長
GODTAIL氏(左)、多喜(中央)、ポスターを印刷したサンクラールの矢田社長(右)

「額も絵の一部」という確信

GODTAIL氏からいただいたコメントです。

「ちょうど個展をやり始めた時期だったんですが、額も絵の一部だと思っていて、購入者にとっては高いお金で買う一生ものになるので額も含めて作品となるものにしないとと思ったのがきっかけかな。 他の額縁屋さんで高い額縁を作ってもらったりしたこともあるし安いものを使ったこともあるんだけど、多喜さんの額の特別感は他にはないものだと思ってて、Nendoの額装を見た時それを強く思いました。 その特別な額に入れた作品をお客さんが持った時にお客さんの満足感が絶対違うなと想像できました。 今回のアクリル額装もウケが良くてアクリルの色が光っていて、キャンバスで置いておくよりも全然見え方が違うわけで、やっぱり額装込みでひとは観るわけだから**豪華さや特別感一体感は普通の額とは違うなと。**でも額縁は高価だから全部の作品につけられるわけじゃないんですが。 アナログで描いてお客さんに渡す時は額に入れずに紙のままで渡すのですが、購入された皆さんやっぱり「額装します!」っておっしゃる。それだけ額装って作品を大事にするって意味もあるんだろうなぁと思います。 そういう意味でも多喜さんとの出会いは頼りになるし特別なものを作れる、それが売れてお客様が喜んでくれたら僕も嬉しいんです。



ビジネス視点で見る額装の投資対効果

額装家多喜博子制作事例 イラストレーター GODTAIL氏
GODTAIL氏「Nendo」B3ポスター額装

デジタルアート額装がもたらす3つの価値

今回の事例から、デジタルアート額装のビジネス価値が明確になりました。


1. 作品単価の劇的な向上

・B3ポスター単体:数千円〜数万円の価値

・特殊額装後:100万円で販売

・額装費用(約20万円)に対し、5倍以上のリターン


2. ブランド価値の構築

・SNSでの拡散効果(X、Instagramでの高いエンゲージメント)

・印刷業界からの注目

・次の展示・販売機会への連鎖


3. コレクターの購買動機の強化

・「手元に置きたい」という所有欲の喚起

・物理的な存在感による満足度の向上

・「一生もの」としての価値認識


今回の額装では、あらためて”額装を含めた全体がひとつの作品”として見られていることを実感しました。オリジナルの額縁と、出力されたデジタルアートの組み合わせが生む相乗効果は、自分にとっても新鮮な発見でした。


アニメやゲームなど、日本発のエンタメカルチャーが持つ視覚の強度や世界観の広がり。その中で、額装が果たせる役割は、これまで以上に大きく、まだまだ拓けていけると感じています。


絵と空間、作家とコレクター、その間にある構造媒体としてのフレーム。

そこにどんな役割を持たせられるか。

額装の役割は、そのシーンや人、場所によってさまざまです。

特別な作品には、また特別な額装の役割があるはず。その答えを一緒に探すのが額装家の役割です。







他のデジタルアート成功事例

【事例1】GODTAIL氏「COLORS」シリーズ|アートカプセル額装

GODTAIL作「COLOR」額装多喜博子

作品形態:キャンバスプリント F20号・S3号

額装タイプ:アートカプセル(ネオンカラーアクリルフレーム)

展示場所:個展「COLORS」大丸梅田店

結果:ほぼ完売、複数購入者多数

特徴:ネオンカラーのアクリルフレームが自然光で発光。外部からも目立ち、集客効果を発揮。サイズバリエーションで購買層を拡大



【事例2】山中智郎氏「月とうさぎ」|フランス額装

山中智郎作「月とうさぎ」 額装多喜博子

作品形態:B3ポスター Sプリズムプリント

額装タイプ:交差額装(フランス額装技法)

展示場所:招待制アートエキシビション

販売価格:40万円

結果:複数点売約

特徴:陶器のような質感の立体フレーム。ネオンカラーの小口が作品と呼応。ポスターとしては異例の高額評価。



【事例3】上田バロン氏 古事記シリーズ

上田バロン「Ordeal」 額装多喜博子

作品形態:カレンダー Sプリズムプリント

額装タイプ:京都伝統飾金具使用の特殊額装

販売方法:クラウドファンディング最上位リターン

結果:初日完売

特徴:伝統とネオの融合デザイン。炎の透かし模様で作品世界を拡張。ファンからの高い支持。





デジタルアート時代の額装戦略

なぜ今、デジタルアートに特殊額装が必要なのか

デジタルアートは複製可能であるがゆえに、「唯一性」をどう担保するかが課題です。額装は、その答えのひとつになります。


特殊額装がもたらす価値:

1.物質的な唯一性:世界に一つの額装デザイン

2.所有の満足感:手元に置く喜びの具体化

3.展示空間の演出:ギャラリーや個展での訴求力

4.投資価値の証明:高額でも納得できる理由



企業・アーティストが額装に投資すべき理由

投資対効果の実例:

・額装費用:10万円〜(サイズA4~)

・作品販売価格の向上:5〜10倍

・副次的効果:ブランディング、SNS拡散、次回展示への期待値上昇


戦略的な活用シーン:

・アートフェア・個展での差別化

・限定販売品のプレミアム化

・クライアントへの特別提案

・企業ノベルティのグレードアップ





まとめ|額装家が現代アートにもたらす「新たな価値」

額装家多喜博子制作事例 イラストレーター GODTAIL氏
GODTAIL氏「Nendo」B3ポスター額装

今回の額装では、あらためて"額装を含めた全体がひとつの作品"として見られていることを実感しました。

オリジナルの額縁と、出力されたデジタルアートの組み合わせが生む相乗効果は、自分にとっても新鮮な発見でした。


アニメやゲームなど、日本発のエンタメカルチャーが持つ視覚の強度や世界観の広がり。その中で、額装が果たせる役割は、これまで以上に大きく、まだまだ拓けていけると感じています。


絵と空間、作家とコレクター、その間にある構造媒体としてのフレーム。


そこにどんな役割を持たせられるか。額装の役割は、そのシーンや人、場所によってさまざまです。

特別な作品には、また特別な額装の役割があるはず。その答えを一緒に探すのが額装家の役割です。




デジタルアート額装のご相談・お問い合わせ

こんな方におすすめです

✓ デジタルアート作品を物理的な商品として販売したい

✓ 個展・アートフェアでの訴求力を高めたい

✓ 作品に特別感を持たせ、単価を上げたい

✓ クライアントへの提案に差別化要素が欲しい

✓ NFTと実物作品の両方で展開したい


〇サービスの流れ

1.ヒアリング(オンライン可)

 作品のコンセプト、展示目的、ご予算などをお伺いします


2.デザイン提案・見積(1〜3案)

 作品の世界観を最大限に引き出す額装デザインをご提案


4.制作(約1~2ヶ月)

 素材選定から仕上げまで、細部にこだわった手作業


6.納品・アフターフォロー

 設置方法のアドバイス、メンテナンス対応


〇予算と納期の目安

・標準的な特殊額装

予算:10万円〜

納期:約2ヶ月

対応サイズ:A4〜


・アートカプセル(スライド式アクリルフレーム)

予算:3万円〜

納期:約3週間〜

対応サイズ:SM~30号程度 


※作品のサイズ、使用素材、装飾の複雑さによって変動します


〇お問い合わせ

デジタルアートに命を吹き込み、空間に響かせる特別な額縁をご希望のアート愛好家のみなさま。また、斬新な額装デザインをお探しのクリエイター様・企業様からのご相談も歓迎いたします。




【作品データ】

作家:イラストレーター GODTAIL氏

作品名:「Nendo」

額装年:2022年

額装素材:木・紙・アルミ・アクリル

額装サイズ:700×600mm

制作期間:約2ヶ月

販売価格:100万円(国内)、120万円(海外)

有限会社サンクラール社の特殊箔押し印刷Sプリズムプリントでプリントされたキラキラ光る箇所と額装の発光が絵に奥行を出しています。多種の素材を使用し加工をして、質感にこだわりました。




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